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造血器腫瘍における原因遺伝子産物の機能解析および疾患モデルの作製

研究内容概要

骨髄異形成症候群(MDS),骨髄増殖性悪性新生物(MPN),急性骨髄性白血病(AML)に代表される造血器腫瘍は,次世代シークエンサーをはじめとする分子生物学的技術の進歩に伴い,近年多数の遺伝子異常が発見され報告されてきている。これらの遺伝子異常は,単独で疾患を引き起こすものから複数の遺伝子異常が重複することにより疾患を引き起こすと推測されるものまで様々であり,生理機能が未解明である遺伝子も含まれている。

我々は,造血器腫瘍において見いだされる遺伝子異常を対象として,それらの遺伝子が正常造血にどのような影響を及ぼすのか,またどのようにして疾患発症に関わるのか,そのメカニズムを明らかにすることを目的として研究を進めている。とりわけ,特定の遺伝子異常により引き起こされる疾患モデルマウスを作製し、病態の究明に役立てたいと考えている。

造血器における疾患原因遺伝子の機能解析の方法

1. ノックアウトマウスによる造血細胞の解析(図1)

疾患の原因となりうる遺伝子Xのノックアウトマウスを用いて,造血に対する影響を評価する。

 ノックアウトマウスによる造血細胞の解析図
図1

 

  1. コロニーアッセイ法:
    野生型とノックアウトマウス双方の骨髄もしくは胎児肝から造血幹細胞を含む分画(KSL分画: c-kit+ Sca1+ lineage-),骨髄球系前駆細胞分画(CMP, common myeloid progenitor; GMP,granulocyte/macrophage progenitor; MEP, megakaryocyte/erythroid progenitor)をFACSAria cell sorterを用いて分離し,適切なサイトカインを添加したメチルセルロース上で培養することにより,分化能・増殖能の比較を行う。
  2. 骨髄移植モデル:
    野生型とノックアウトマウス双方の骨髄もしくは胎児肝から血液細胞を採取し,致死的放射線照射を行ったレシピエントマウスに移植することにより,in vivoでの表現型の評価を行う。
  3. 発現アレイを用いた関連遺伝子変化の網羅的解析:
    野生型,ノックアウトマウス双方の骨髄もしくは胎児肝からKSL分画の細胞をFACS Aria cell sorterを用いて分離する。Total RNAを抽出し,マウス全遺伝子に対するマイクロアレイ解析を行うことにより関連遺伝子群の変化を網羅的に評価する。

2. 疾患モデルの作製(図2)

レトロウイルス・レンチウイルスを用いた遺伝子導入細胞を移植して疾患モデルを作製し,ヒト疾患の理解に役立てる。

骨髄系腫瘍では,同一の疾患において複数の遺伝子異常が認められるケースが多数ある.KSL分画にレトロウイルスもしくはレンチウイルスを用いて複数の遺伝子異常を強制発現させた細胞を致死的放射線照射したレシピエントマウスに移植することにより,骨髄系腫瘍の疾患モデルの作製を行う。

疾患モデルの作製図
図2

 

主な発表文献

  1. Hes1による造血前駆細胞の不死化と慢性骨髄性白血病急性転化との関連
    (Nakahara, Sakata-Yanagimoro, et al., Chiba. Blood, 2010)
  2. 骨髄異形成症候群における癌抑制遺伝子c-Cblの機能獲得異常(東京大学・小川研究室との共同研究)
    (Sanada, et al., Sakata-Yanagimoto, et al., Chiba, et al. Nature, 2010)

メンバー

スタッフ:

   ・坂田(柳元)麻実子

大学院生:

   ・加藤 貴康
   ・武藤 秀治
   ・三宅 康行
   ・榎並 輝和
   ・鎌田 勇平
   ・松原 理絵
   ・Truong Thien Phu
   ・山田 桃子
   ・浅部 幸昭