

研究テーマ・研究室
脂質代謝と造血器腫瘍
私たちが目指すこと
診療の現場に立つと、「現行の治療では救えない造血器腫瘍の患者さんに、何かできることはないだろうか」という疑問に何度も向き合います。
私たちの研究チームでは、この臨床での疑問を出発点に、患者さんから提供いただいた臨床検体(血液・骨髄・リンパ節)、白血病細胞株、マウスモデルを用いて、リピドミクス解析、RNAシークエンス、フローサイトメトリー、分子生物学的解析などを組み合わせながら、急性骨髄性白血病(AML)をはじめとする造血器腫瘍の病態解明・診断・新規治療法開発を目指しています。
基礎で得られた知見を臨床に還元し、また臨床の疑問を基礎研究で検証する。この「トランスレーショナルリサーチ」のサイクルを大切にしています。
研究の柱:白血病細胞の脂質代謝
脂質は、細胞膜やエネルギー源としてだけでなく、細胞の増殖・分化・細胞死・薬剤への反応性を左右する、いわば細胞の“生き方”を決めるスイッチのような役割を持っています。がん細胞は、自らの増殖や生存に都合の良い脂質代謝を利用していると考えられています。
私たちはこれまで、脂肪酸伸長酵素ELOVL6に着目し、脂肪酸の鎖長バランスがAMLの発症・進展や、正常造血幹細胞の機能にも関わることを明らかにしてきました。現在はこの知見をさらに発展させ、スフィンゴ脂質を含む脂質代謝経路と、白血病細胞の生存・薬剤感受性との関係を解析しています。白血病細胞が特定の脂質代謝経路に依存している可能性を検証し、その依存性を新たな治療標的とすることを目指しています。
大学院生の方へ
私たちのチームでは、臨床検体を用いた解析から論文執筆・学会発表まで、研究の一連の流れを大学院生自身が主体的に経験できる環境を作っています。
血液内科医・臨床検査技師・基礎医学研究者・分析化学研究者など、多分野のメンバーと協力しながら研究を進められます
質量分析を用いたリピドミクス解析をはじめ、フローサイトメトリー、RNAシークエンス、分子生物学的手法など、幅広い技術を習得できます
国内外の学会での発表、英語論文の執筆まで一貫して指導します
(下記の実績もご参照ください)
臨床の疑問を自分の手で検証し、その成果を診療に還元するというトランスレーショナルリサーチのやりがいを実感できます
臨床現場での経験を、科学的な問いとして掘り下げてみたい方を歓迎します。
メンバー
加藤 貴康(チームリーダー)
鬼頭 さくら(博士課程)、定別 當奏(修士課程)
出身メンバー:清木 祐介(2023年博士取得)、TRAN HONG MINH(2025年実験助手)、平本 佑(2026年修士取得)
これまでの実績
学会発表
- 2022年 第84回日本血液学会(清木 口頭)
- 2023年 第28回ヨーロッパ血液学会(清木 ポスター)/第2回JCA-AACR Precision Cancer Medicine International Conference(清木 ポスター)
- 2024年 第21回幹細胞シンポジウム(鬼頭 ポスター)
- 2025年 第87回日本血液学会(鬼頭 英語口頭)
- 2026年 第68回日本脂質生化学会(鬼頭 日本語口頭)/第12回がんと代謝研究会(鬼頭 ポスター)/第88回日本血液学会(鬼頭)/第85回日本癌学会(鬼頭)
論文
- 清木祐介(筆頭著者)ほか. Leukemia 37, 910–913 (2023)
見学・お問い合わせ
研究内容にご興味を持たれた大学院生希望の方は、お気軽にご連絡ください。
加藤 貴康
tkato@md.tsukuba.ac.jp
