

血液内科で診療する病気
急性リンパ性白血病
急性リンパ性白血病(ALL)とは
急性リンパ性白血病(ALL)は、リンパ球のもとになる未熟な細胞(リンパ芽球)ががん化し、骨髄や血液の中で急速に増える血液のがんです。ALLにはB細胞系とT細胞系があり、さらにさまざまな遺伝子異常によって多くの病型に分類されます。病型によって治療法や治療後の見通しが異なるため、正確な診断が適切な治療につながります。
急性リンパ性白血病の症状
急性リンパ性白血病では、正常な血液がつくられなくなることでさまざまな症状が現れます。貧血による息切れや疲れやすさ、発熱や感染症、鼻血や歯ぐきからの出血、あざができやすいなどが代表的な症状です。また、リンパ節や脾臓の腫れ、骨や関節の痛みを伴うこともあり、病気の種類によっては中枢神経や精巣などに病変を生じることもあります。これらの症状は他の病気でもみられることがありますが、血液検査で異常を指摘された場合には、速やかに詳しい検査を行うことが重要です。
急性リンパ性白血病の診断
診断には、血液検査や骨髄検査に加え、フローサイトメトリー、染色体検査、遺伝子検査などを行い、白血病細胞の特徴を詳しく調べます。また、治療開始後には微小残存病変(MRD)を測定し、治療効果を評価するとともに、その後の治療方針や造血幹細胞移植の必要性を検討します。 近年のWHO分類では、急性リンパ性白血病の診断に遺伝子異常の評価がますます重要となっています。当科では、ヘムサイト®をはじめとした包括的な遺伝子解析を積極的に実施し、最新のWHO分類に基づく正確な病型診断や病態の把握に努めています。
急性リンパ性白血病の治療
急性リンパ性白血病では、診断後できるだけ早く治療を開始することが重要です。年齢や病型、遺伝子異常、MRDの結果などを総合的に評価し、一人ひとりに最適な治療を選択します。近年は新しい薬剤や治療法が加わり、治療の選択肢は以前よりも大きく広がっています。
薬物療法では、多剤併用化学療法を基本とし、フィラデルフィア染色体陽性ALLでは分子標的薬を組み合わせて治療を行います。また、再発・難治例ではブリナツモマブやイノツズマブ オゾガマイシン、CD19を標的としたCAR-T細胞療法(チサゲンレクルユーセル/キムリア®)も重要な治療選択肢となっています。病気の状態によっては、治癒を目指して同種造血幹細胞移植を行います。
当科の特色
当科では、急性リンパ性白血病の診断から化学療法、CAR-T細胞療法、造血幹細胞移植まで一貫した診療体制を整えています。MRD測定を積極的に活用し、治療効果を客観的に評価しながら、患者さん一人ひとりに最適な治療戦略を立案しています。
また、JALSGをはじめとする多施設共同研究や臨床試験に積極的に参加し、最新の治療を診療へ取り入れています。治験参加によって保険診療にまだない治療の選択肢を検討できる場合もあり、標準治療に加え、臨床試験や新しい治療法が適していると考えられる患者さんには、その内容を十分にご説明したうえで治療の選択肢としてご提案しています。
茨城県の血液診療の中核施設として、地域の医療機関と密接に連携しながら、初回診断から高度医療、長期フォローアップまで切れ目のない診療を行っています。私たちは、病気だけではなく患者さん一人ひとりの生活や価値観も大切にし、ご本人・ご家族と十分に相談しながら、納得して治療を受けていただけるよう最適な医療を提供します。
